健康保険では、従業員(被保険者)に扶養されている75歳未満の国内居住者について、一定の条件に該当すれば被扶養者として認定され、健康保険の給付が受けられます。被扶養者の認定が受けられる要件のひとつに、年間収入の基準があり原則として、"認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または一定の障害者の場合は180万円未満、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)の場合は150万円未満)"であり、かつ、"被保険者の年間収入の2分の1未満である場合"となっています。
この年間収入の確認について現在は、
・認定対象者の過去の収入
・現時点の収入
・将来の収入の見込み
などから、時間外手当等の賃金を含めた今後1年間の収入の見込みにより総合的な判定していますが、認定日が2026年4月1日以降となる場合には、"契約で定められた賃金から見込まれる年間収入(他の収入が見込まれない場合"により判定されることになります。
以下Q&Aをご参照ください。
※以下、「年間収入が130万円未満」については、認定対象者が60歳以上または一定の障害者の場合は「180万円未満」、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)の場合は「150万円未満」と読み替えてください。
Q1 なぜ労働契約内容によって年間収入を判定することにしたのか?
A1 収入要件の判断基準が「総合的な判断」の方式を採用していたため、判断にバラつきがあったり、将来に向けての正確な収入額を予測するのが難しい、などの問題があったため、労働契約の段階で見込まれる収入額を用いて被扶養者の認定を行うことになりました。そのため、労働契約に明確な規定がなく、労働契約段階では見込み難い時間外労働に対する賃金等は、被扶養者の認定における年間収入には含まないことなります。
Q2 具体的に「労働契約で定められた賃金から見込まれる年間収入が130万円未満である」というのはどういう状態のことをいうか?
A2 労働条件通知書等の労働契約の内容が確認できる書類において規定される時給・労働時間・日数等を用いて算出した年間収入の見込額が130万円未満である場合を想定しています。そのため、当該書類上に明確な規定がなく予め金額を見込み難い時間外労働に対する賃金等は年間収入の見込額には含まないことになります。
Q3 労働契約内容が確認できる書類がない場合、どのように年間収入を判定するのか?
A3 労働契約内容が確認できる書類がない場合は、従来どおり、勤務先から発行された収入証明書や課税(非課税)証明書等により年間収入を判定することになります。
Q4 労働契約に明確な規定がなく労働契約段階では時間外労働の見込みがなかったが、扶養認定時点では経常的に時間外労働が発生している場合は、どのように年間収入を判定するのか?
A4 労働契約に明確な規定がなく労働契約段階では時間外労働の見込みがなかったのであれば、扶養認定時点で時間外労働が発生していたとしても、当年度においては一時的な収入変動とみなし、今回の取扱いにより年間収入を判定することになります。
Q5 給与収入以外に他の収入(年金収入や事業収入等)がある場合、年間収入はどのように判定するのか?
A5 従来どおり収入証明書や課税(非課税)証明書等により年間収入を判定することとなります。給与収入のみの場合は、「給与収入のみである」旨の申立てを行なってください。
Q6 認定対象者の「給与収入のみである」旨の申立てはどのように提出するのか?
A6 健康保険被扶養者(異動)届の「扶養に関する申立書」欄に認定対象者本人が記載する方法や、健康保険被扶養者(異動)届の添付書類として認定対象者本人が作成した「給与収入のみである」旨の申立書を添付させる方法等により対応をしてください。
今回の改正で、被扶養者となる従業員の方との労働契約が扶養認定に直接関わってきます。労働条件通知書等の整備・再確認をしていただき、現在の労働条件が反映されたものを発行・管理していただくことをお勧めいたします。




















